きっかけはNiceHashの収益計算でした。そこに記されていたのはLHR版グラボでもマイニングで【年間13.2万円】利益が出るということでした。
本当に利益が出るのだろうか?
しかも、LHR版グラボで。
半信半疑でしたが、前回の記事ではLHR版グラボでも「NiceHash QuickMiner」を緩く稼働すれば【年9.6万円】のマイニング収益が得られそうだと分かりました。
下のかなり緩い稼働で3日間の純収益は【約830円】になりました。
- LHR版3080グラボを利用
- 1日平均16時間で3日間稼働
- GPUチューニングを全くせず
- NiceHash QuickMinerの「低設定」で6割ほど稼働
稼働状況を改善すれば「もっと効率よく稼げる」かもしれません。この記事ではLHR版グラボでもマイニング収益を最適化できるのか検証していきます。
NVIDIAの「LHRグラボ」はクソ対策
先ず言いたいのはNVIDIAの「LHRグラボ」です。クソ対策ですね。
仮想通貨マイニングを抑制するためにハッシュレートを意図的に下げたのが「LHRグラボ」です。LHRグラボは、一定のハッシュレートで抑えられるので仮想通貨マイニングには向かないグラボとして販売されてます。
気に入らないのは、後発で買う人だけが損する製品ラインです。
そもそも、「仮想通貨マイニング」の需要は減っておらず、需要があるにも関わらず「ダメ」と言われるわけです。さらに、高いグラボを買わせておきながら。
この問題の本質は「消費電力」
クソ対策の理由は、ハッシュレートが下がっても「消費電力」が下がらないからです。ハッシュレートが下がろうが「マイニングする人はマイニングする。」と思います。仮想通貨がなくならない限りマイニングの需要もあり続けると思うので、「消費電力」をそのままに効率の悪いグラボだけを世の中に拡散するのは、どういう思考回路なのか。
消費電力を下げないのなら本来の処理性能を発揮させた方が電力効率は良いです。
グラボでマイニングする人は依然として増えるので「仮想通貨マイニング」を問題視するのはオカシイと思ってます。 「仮想通貨マイニング」 そのものは現時点で必要なので。
問題にすべきは「消費電力」の方です。本質的な問題である【消費電力】を解決しようとせずに、買う人に欠陥品を売りつけて、3090を非LHRという特別品に仕立てあげるNVIDIAの姿勢はどうかと思いますね。自分たちは機会損失してませんからね。
非LHR3080グラボなら100MH/s出せる。ならば、LHR版グラボは?
本来、非LHR版3080グラボならGPUチューニングすればハッシュレートで【100MH/s】出ます。消費電力は【250W】です。LHR版グラボのハッシュレートは本来の70%性能に抑えられているので。
LHR版グラボの限界は【70MH/s】あたりになりそう。
当初、ハッシュレートが70%になれば消費電力も70%の【180W】になると思っていたので、部品の消耗を考えるなら100%稼働にならないLHR版グラボの方が理想的な稼働と言えるんじゃないか?
3080グラボ以上はメモリがGDDR6Xで爆熱になりやすく、マイニングで100%稼働を保つとグラボの寿命は短くなりやすいと予想できるからです。
と考えてましたがこれは勘違いで先に言ったNVIDIAの【クソ対策】は、ハッシュレートを下げるだけで消費電力は下がりません(発熱量自体に変化なしです。)。 70%【180W】 にならなくても良いので、せめて【210W】くらいの下がりを見せれば許せますが一切下がらず、ハッシュレートを70%低下させても【250W】付近でした。
消費電力は同じなので部品寿命に変化はないでしょう。LHR版、非LHR版関係なく。
ハッシュレート (MH/s) とは、マイニングをする際の1秒あたりの計算力、採掘速度のことです。単位はH/s (ハッシュパーセカンド)で「毎秒●ハッシュの計算ができる」ことを意味します。例えば、1MH/s の場合、毎秒 100 万回のハッシュ計算ができることを意味します。
試しにマイニング環境を変えてみた。
「マイニングでどれくらい稼げそうか?」を実体験するために細かな設定をしなくても自動で設定して開始してくれる「NiceHash QuickMiner」を決め打ちで使ってました。その結果「意外と稼げそう?」と分かったので、まずはマイニングを実行する環境を変えてみたいと思います。
NiceHash QuickMiner | minerstat+その他マイニングソフト | マイニングソフト | |
---|---|---|---|
プール | NiceHashプール | Binanceプール | Binanceプール |
特徴 | 自動設定ですぐ開始できる。 | minerstatを使うことでマイニングソフト管理の手間を省ける。 | 自分でソフトごとに設定を行いマイニングソフトを起動する。 |
minerstatについて
minerstatは「マイニングソフト管理アプリ」です。NiceHash QuickMinerに並ぶくらい手軽にマイニングを開始できると思います。例えば、(慣れると)さほど手間では無いですが、最初はマイニングソフトのダウンロード先すら分かりません。
minerstatを使えばマイニングソフトを個別にサイトまで行ってダウンロード&インストールする手間なくminerstatのWeb上の管理画面からソフトを選ぶだけで環境構築してくれます。
また、自分で個別にダウンロードするのもいいですが「セキュリティ上」に懸念があるソフトもあるので、最初はminerstatを通してソフトを選定するほうが何かと安心です。試すなら左から順に試して最終的に一番良かった環境でマイニングを続けることにします。
minerstatは「マイニングソフト管理アプリ」です。このため、自分でマイニングソフトを管理出来れば不要とも考えられます。
さらに、minerstat自体は無料で利用できるので「このアプリを提供する意図はなんだろ?」と思ってしまいます。「まさかマイニングを中抜きしているのでは?」と勘ぐったので、マイニング環境の対象に「マイニングソフト単体での純粋マイニング」も含めているわけです。
Binanceプール
Binanceの暗号通貨取引アカウントを持っていたので、最近人気が上がっているBinanceプールを使っています。
Binanceプールの手数料は0.5 %でコスパは良いです。Binanceは通貨取引市場もあるのでプールのウォレットから無料で取引ウォレットに振り替えてそのまま仮想通貨を取引できます。例えば、円換金の流れは、送金手数料が安く済むETH→LTCに換金してからbiFlyerなどでLTC→円に換金する流れです。マイニングプールの比較も載せておきます。
プール | シェア | TH/s | プール手数料 | 方式 | 最低出金額(ETH) |
---|---|---|---|---|---|
1.ethermine.org | 26.3% | 129.9 | 1% | PPLNS | 0.1 |
3.f2pool.com | 9.0% | 44.7 | 2% | PPS+ | 0.1 |
4.hiveon.net | 7.3% | 36.3 | 0% | PPS+ | 0.1 |
5.beepool.com | 5.6% | 27.9 | 1% | PPLNS | 0.08 |
6.2miners.com | 4.9% | 24.0 | 1% | PPLNS | 0.05 |
7.nanopool.org | 4.4% | 21.7 | 1% | PPLNS | 0.05 |
8.miningpoolhub.com | 3.3% | 16.5 | 0.9% | PPLNS | 0.01 |
9.spiderpool.com | 2.6% | 13.0 | 1.5% | PPS+ | 0.01 |
10.binance.com | 2.0% | 9.7 | 0.5% | PPS+ | 0 |
マイニングプールを一覧で見ると、Binanceプールのハッシュパワーは規模が小さいので、将来的には上位のプールに切り替えるかもしれません。
マイニングして報酬を得るのは「もっとも早く計算を行ったマイナーのみ」です。計算を早く行うための力を「ハッシュパワー」と呼びます。マイニングで報酬を得られるのは、結局ハッシュパワーの高い計算機を持つマイナーに限られます。
そこで、個人でマイニング報酬を得るのは実質不可能なので集団でハッシュパワーを合わせてマイニングを行う環境が用意されました。それが「マイニングプール」です。また、プールのハッシュパワーが高いほど報酬を得る確率が高くなるのでハッシュパワーをが高いプールを選びます。
試しにマイニングソフトも変えてみた。
さて、ようやくマイニングソフトの選定です。マイニングしている時点でもセキュリティ的には「裸」も同然な気がしていますが、セキュリティで評判が悪いソフトを排除して次の候補に絞り込みました。
NiceHash QuickMiner | NBMiner | T-Rex | Gminer | |
---|---|---|---|---|
DevFee | 0 | 1% | 1% | 0.65% |
特徴 | 自分でソフトごとに設定を行いマイニングソフトを起動する。 | シェア2位のマイニングソフトです。 | 新興ソフトで手数料が安いです。 |
マイニングソフトは「NiceHash QuickMiner」と「その他のマイニングソフト」という区分けで良いと思います。
マイニングソフトの選定で除外したのはシェアNo.1の「PhoenixMiner」です。NiceHashが「怪しい」とアナウンスしているので事実かどうかは分かりませんが、念の為、除外しました。
この記事では先ず「GPUチューニング」してハッシュレートを上げた収益結果が知りたいからので試運転用に【Gminer】を使っていきます。マイニングソフトの比較は別で記事にします。
マイニングのリスクはやはり「セキュリティ」です。そもそも最初の起動時にセキュリティソフトに隔離されるプログラムなので、セキュリティを脆弱にしてからでないとプログラムを起動できません。
この時点でセキュリティ面ではすでに「ガバガバ」だと思います。
最近では、PCに不正にアクセスして勝手にマイニングさせるケースが起きています。PCの所有者は、裏でプログラムが動いていようが「障害なく多少重たくなった程度」しか感じないのでとても厄介です。
マイニングソフトのサービスは誰でも分かる固定のポートを使ってますし。驚いたのはサンプルで入っている起動用のbatプログラムを間違って押したら、勝手に「誰かのプール」に接続してマイニングを開始したことです。完全に「がばがば」だなと思いました。
想像だけですが、マイニングソフトを提供する業者にも「勝手にマイニングさせるバックドア」を仕込もうとする業者がいる気がします。あるいは、ハッシュレート値を改ざんして中抜きしたり。
ただ、この手のリスクを排除するのは不可能だと思います。「外を歩けば交通事故に会うかもしれない。」と考えるのと同じで、マイニングしようとせずともどんなプログラムからでもマイニングさせられる状況にあるのでリスクヘッジは少なくとも「無料のプログラム」を入れないくらいしか対策できないと思います(有料のプログラムでもリスクは残りますが。)。
例えば、無料で使えるAndroidアプリエミュレータ「Nox Player」がありますが、このソフトって有料じゃないのが不思議なくらいに高性能です。そして、明らかに中華系です。このプログラムを足がかりにコンピュータ資源にアクセスしているのであれば納得がいきます。疑いだしたらきりがなく、この手の問題は「第三者のプログラムを使わない」くらいしか対策できないと思います。
それでも、僕がマイニングする理由はPCは消耗品でしかなく「コストの元が取れるなら元を取るべき」と考えるからです。また、所有PCに異常が出ることは無いでしょう。PCは大切な足がかりなので、おそらくリスクはPC内のクレジットカード情報などが盗聴されることだと思います。
LHR版グラボをGPUチューニングしてみた。
チューニングができれば良いので、GPUチューニングソフトは何でも構いません。
特にこだわりが無いなら、GPUチューニングには「MSI Afterburner」をおすすめします。ちなみにNiceHash QuickMinerだとOCTuneがデフォルトのGPUチューニングソフトです。
MSI Afterburnerはスキンを様々選べるため、他のサイトで紹介されているMSI Afterburnerとは見た目が違いますが、使っているソフトや設定項目は同じです。
MSI AfterburnerはGUIの項目がシンプルで使い易いです。3080グラボの場合の最適な設定値はある程度分かっており、そこから微調整していきます。
この設定で本来なら【100MH/s】ほどでます。
- Core Clock:-150
- Memory Clock:+900
- Power Limit:220W(69%)
しかし、これがLHR版グラボになると【70MH/s】あたりに抑えられます。
MSIアフターバーナーでファンを制御する
「MSI Afterburner」がおすすめなのはファンコントロールです。マイニング時のファンは常に100%稼働でも良いですが、あまりにファンの回転音がうるさいです。やはり温度に伴って上下させるのが良いのですが、初期設定では温度が上がり切ってようやくファンが全開になります。
このため、下記のように設定し直しました。
- ①本体30度でファン回転数40%
- ②本体40度でファン回転数50%
- ③本体50度でファン回転数70%(VRAM温度は80度以上)
- ④本体60度でファン回転数95%(VRAM温度は85~90度)
- ⑤本体65度でファン回転数100%(VRAM温度は90度以上)
8ノードまで設定点を追加できるので、細かく刻んで設定できるのも良い点です。本体の温度とVRAMの温度には開きがあるので注意します。
意図するところは「VRAM(メモリ)を冷やす」ことです。特に3080クラスのGDDR6Xメモリを搭載するグラボは爆熱になりやすく、部品故障に繋がりやすいからです。
GPUチューニング前
画像は準備中です。
GPUチューニング後
GPUチューニング後、LHR版3080グラボは250Wで70MH/sになりました。
非LHR3080グラボなら250Wで100MH/sなので不満が残ります。何度も言いますが、ハッシュレートに制限を設けるなら消費電力も下げるべきです。
参考:LHR版グラボでのNiceHash QuickMinerトラックレコード
※GPUチューニング等一切行わず「低」「中」設定で稼働
MH/s | 消費電力 | 温度 | DevFee | 送金手数料※1 | |
---|---|---|---|---|---|
LHR版3080 | 低:47MH/s 中:52MH/s | 180W | 全体60度/VRAM80度 | 0% | 2% |
LHR版グラボのGminerマイニング収益
計測中なので正確な情報で後日更新しますが、NiceHash QuickMinerと比較すると、、、。
- NiceHash QuickMiner:一日あたり【約300円】、消費電力【180W】
※チューニングせず【低】【中】設定(50MH/s)で緩く稼働
- Gminer:一日あたり【約280円】、消費電力【250W】
※チューニング済み
このまま行けば【NiceHash QuickMiner】で良いじゃんという結論になる可能性が多いにあります。
しかし、このグラフを見ても分かる通り、まだ安定して稼働させた訳ではないので正確にはもっと伸びる気がします。
後日の更新をお待ち下さい。
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